0からのシンセサイザーのくりっぱーこと
Kurippertronixxx@Kurippersynthです。
KORG Legacy Collectionの元祖ROMプラー・シンセ、KORG M1について書きたいと思います。
実機は1988年発売。
PCM音源と独立2系統ステレオ・デジタル・エフェクター、8トラックの内蔵シーケンサーを搭載した61鍵シンセサイザーで当時世界中で大ヒットしました。
このM1の魅力はなんといってもその音源の豊富さでピアノ、キーボード系からストリングス、ブラス、シンセ、民族楽器、ドラム、環境音までカバー出来ます。
1980年~86年くらいまではYAMAHAさんのFM音源のデジタル・シンセサイザー・DXシリーズが一人勝ちでブイブイいわしてた感じでしたがRolandさんのD-50とこのKORGさんのM1の登場から変わっていったと思います。
KORG M1はアナログ・シンセサイザーやFM音源のように波形を合成して音作りをするものではなくてサンプリングされた音 ( 波形 )を鳴らすという今でいう、ROMプラー、当時はワークステーション・シンセサイザー / オールインワン・シンセサイザーなどと呼ばれていました。
曲作りに必要な鍵盤、シンセサイザー、シーケンサーが融合したM1の大ヒット以降、各メーカーもワークステーション・シンセサイザーの開発取り組みました。
中でもKORGはM1以降、01/W、TRINITY、TRITON、M3、KRONOSなどワークステーション・シンセサイザーと定番になりました。
M1の登場以降、当時のミュージシャンのプリプロ( レコーディング前の制作作業 )のクオリティがすごく上がったそうです。
「東洋のテクノゴッド」の異名を持つテクノ・ミュージシャンのケン・イシイさんがはじめて買ったシンセサイザーで夢中で使ったそうです。
ある日電源入れたら突然故障かなんかでプリセットぶっとんで(^^;全部自分で音をプログラムしてオリジナリティを確立したというのは有名な逸話ですね。
実際M1が制作環境の中心だった氏の初期の作品はエクスペリメンタルでオリジナリティ溢れる独特な音でした。
まー、ケン・イシイさんは特殊な例として笑
KORG M1は当時のライブや音楽番組なんかでもよく見かけましたし、実際90年代中盤くらいまでのJ-POPの楽曲制作ではかなりM1が使われてたと思います。
M1 ソフトウェア・シンセサイザー 仕様
最大同時発音数 256音(コンピュータのCPUに依存)
パート数 8
PCM波形 1,000種類以上
音色数 3,300種類以上のプリセット音色、ユーザー・プリセット:400種類
エフェクト 34種類
M1シリーズおよびTシリーズのデータ・インポート可能(.syxファイル経由)
スタンドアローン動作、VST/AU/RTASプラグイン・インストゥルメント対応
ソフトウェアのM1はKORG LEGACY COLLECTIONに収録されています。
さらにソフトウェアのM1は当時別売りで発売されていた拡張ROMカード+M1の後継機のTシリーズのフロッピーの音色も全て収録しています。
おもなモード
BROWSER 音色のブラウジング・セクション
COMBI 複数のプログラムを組み合わせたコンビ・モード ( 最大8プログラム )
MULTI 複数の音色をMIDI等で鳴らせるマルチ・モード( 最大ステレオ8出力可能)
PROG 2つのサウンド波形からなる単体プログラム
GLOBAL 各種設定
カテゴリー分けされてて検索しやすいです。
また右上の「PREVIEW」をクリックすると以下のパターンから自動試奏してくれます。
ここでプログラムの基本的なシンセサイズが出来ます。
ソフト版では実機にはなかったレゾナンスが搭載されています。
LINK EDITで2つのサウンドを同時にシンセサイズ出来ます。
波形、フィルター、アンプ、エフェクターとエディット出来るので大体間に合いますね。
オシレーター選択画面
カテゴリー分けされてるのが良いですね。
・80年代末~90年代前半のシンセの音が出せる
・豊富なプリセット量であらゆるジャンルに対応できる
・実機の2行のディスプレイから視認性が飛躍的に向上している
・音色数が膨大だけどパソコンならではの快適なブラウジング機能
・動作が軽い
・あの「M1ピアノ」が使える
・特にないけどソフトとしても古いのでそろそろGUIを新しく、というか大きくしてほしい
サウンド ★★★★★
操作性 ★★★★
視認性 ★★★★
負荷の軽さ ★★★★
拡張性 -----
お買い得度 ★★★★★
鍵盤系 ▲▲▲▲▲
シンセ系 ▲▲▲▲▲
ストリングス ▲▲▲
ブラス ▲▲▲
ポップス
ロック
テクノ
ジャズ
BGM
サウンドトラック
本家KORGが開発しただけあって再現度は非常に高いです。
ソフトウェアでM1を使うならこういうのがいいなっていうのを全て実現した感じです。
豊富なプリセット+拡張音源で殆んどの楽器の音が出せます。
でも30年近く前のサンプリング音源なので決してリアルな音ではありません。
M1というシンセサイザーの音です。
基本KORGさんらしい派手な感じの音なので好みは分かれるかもしれません。
現代仕様にしてあるため、膨大な音色もカテゴリー分けされてるのですぐに探せます。
使い方としてはエンベロープいじったり、エフェクト切ったりするくらいであまりエディットはしないでM1のシンセの音をそのまま使うって感覚ですね。
ハード機にはなかったレゾナンスも追加され、音作りもする気になればかなり出来るソフトだと思いますが、そういう音は今のシンセ使った方が早い気がします。純粋にM1の音を使うっていう事が多いかな。
基本プログラムで使って、派手にしたい時とかは重ねたり。
個人的には1番多感な時期に聴いた80年代末~90年代のポップス等で使われていた音がそのまま鳴らせるので音聴いただけで涙腺ゆるみました笑
やっぱり「M1ピアノ」最高です。
ピアノ、エレピ、オルガンなどはよく使います。
キラキラしたベル系なんかもM1ならでは。
ブラスの音とかも重ねるとより厚みを出す事も出来るし使い方はいろいろあります。
当時は低メモリのサンプルばかりだから結構同じような音も入ってますが(笑)
今はiOSアプリでiM1があり、タッチパネルを活かしたKORGのお家芸、カオシレーター・モードでよりフィジカルな操作が出来そうですね。
プラグイン・シンセとしてはかなり古い部類になりますが64bit OSにも対応していますし、Mac / Win、VST / AUと殆んどの環境で使えるので( プロツールス以外? )前にこのブログでもふれたXpand!2とともにぜひおすすめしたいプラグイン・シンセです。
個人的にはKORG Legacy Collectionの中ではこのM1が一番好きですね^^